6/13/2009

鉄砲玉の美学

1973年、監督:中島貞夫、脚本:野上龍雄(下)。




ヤクザ映画なんだけど、頭脳警察が音楽を提供していて、カッコいい。


オープニングのバックとラスト近くのシーンで主演の渡瀬恒彦が警官に発砲して、逃亡する際に流れる「ふざけるんじゃねぇよ」(下:オープニングのシーン)。
秀逸です。



このオープニングも結構いい。
パンタのカッティングギターとシャウトが、モンタージュショットで食→排泄→性に向かうシーンの進行具合と妙に絡んでいる。怒りの増幅が生命活動のアウトプットへと流れるかのように。
映像の切り替わりもトシのドラムに、何か知らんが、重なっているし。
この監督のショットが素晴らしいのか、考えすぎなのか。


どこかのサイトで書かれていたが、この映画のタイトルがそもそも反語的だという。
鉄砲玉とは自らの命を投げ出すことにその役割があるのだが、この映画ではそうではない。
鉄砲玉になれなかった主人公の破滅、任侠の世界からは程遠い惨めさが最後を飾る。


どこか『俺たちに明日はない』と似ている気がする。
『俺たちに明日はない』のように「バイオレンス、セックス」の刹那性は、ストーリー(映像)自体にあまり出ないものの、ショットと頭脳警察の音楽で補完しているといったところか。

DVD化を望む。

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